【夏蕎麦】※夏蕎麦での採種種子の取り扱いはしておりません。
・夏に収穫された新そばのこと。
・一般的には「秋新」をさして新そばというが、それと区別するための呼称。夏の盛りに収穫される夏そばは、日照時間が少ないため雌しべが発育不全で、秋そばに比べて味、色、香りともに劣ってしまう。
・ソバは播種時期によって「夏ソバ」「秋ソバ」に大別されている。
・一般に、夏ソバは、四月上旬(九州)から六月下旬(北海道)に播種、六月中旬(九州)から八月中旬(北海道)に収穫される。
夏ソバの特性としては、長日条件でも三〇日前後で開花し、夏の高温下でもよく結実する。
逆に晩播きになるほど結実が劣る傾向がある。一般に温度への感応性が大きい。
【秋蕎麦】
・秋に収穫される新そばの意。「秋新」とも言う。
・そばの種類は収穫時期によって、「夏そば」と「秋そば」に大別されている。
・秋そばの播種は7月上旬(北海道)から9月上旬(九州)、収穫は9月中旬(北海道)から11月中旬(九州)となる。
・秋そばは晩(おそ)まきする場合に結実が良好で、早まきすると茎葉が伸びすぎて結実が著しく阻害される特徴がある。
・夏そばに比べ、秋そばは風味がよく、色調もすぐれている。
■2016年1月撮影
【会津のそばのお話】
会津の在来種については、一般の人にはあまり知られていないが、実は大変な魅力にあふれたソバなのです。
会津地方には、地域ごとにそれぞれ、昔から栽培され続けている在来種のソバがあります。
会津在来と呼ばれるもののほかに、山都町に見られる山都町在来、下郷町で栽培される下郷町在来など。それぞれ、草丈や粒の大きさ、枝分かれの多少などに特徴があり、風によって倒伏しにくいとか、枝の分岐が多くて実入りが良いなどの個性を持っています。
現在、蕎麦の品種では、1994年に長野県で育成された「信濃1号」が、どんな土地でも育てやすく、収量も多くて高い評価を得ておりますが、この品種は会津在来から育成されたものなのです。
信濃1号は長野県内を始め、秋ソバを栽培する広範囲な地域で栽培されており、会津在来は、こうした品種の母体となった優れたソバなのです。
全般に収量、品質とも安定が高く、粒の大きさは『信濃1号リンク』並~やや小さく、粒色は暗褐色~茶褐色です。
現在、会津在来種の品質は県内外の消費者から高い評価を得ており、会津地域ではそばを核とした地域振興、産業振興を積極的に行っています。
会津盆地の周囲は高い山々にかこまれ、高冷地で採れるソバは、味・香りともにとてもよく、自家栽培においてもおいしいそばに打ち上げられます。
当地会津喜多方熱塩地区の標高540mで栽培したソバを皆様へお届けさせていただきます。
■2016年1月撮影
【蕎麦の栽培】
主産地における標準的なソバ栽培技術の要点は次のとおりである。
●耕起・整地
耕起の探さは15㎝程度で、通常ロータリーで耕起・整地を行うが、砕土(さいど)はできるだけていねいにすることが必要である。
●播種方法および播種量
ソバの播種はすじまき(条播)、ばらまき(散播) いずれでも良いが、土寄せや薬剤散布を行う場合はすじまきとする。
最近は省力化を図るため大型機械による播種が実施されるようになっている。
播種量は作付の時期によって若干異なり、夏ソバの早まきでは10㌃当り5㎏前後で、秋ソバの場合は6~7㎏が基準であるが、各作期とも早まきほど少量でよい。
●施肥
施肥は前作によっても異なるが、他の作物にくらべ少量でよく、一般的に吸肥力の強い作物とされている。とくに、窒素を多用するとかならず過繁茂になり倒伏するので、十分な注意が必要である。
一般には、窒素質の少ない畑作用の化成肥料が用いられるが、可能な限り堆肥を施用することが望ましい。
●管理
ソバは他作物にくらべ手間のかからない作物である。生育が非常に早いので雑草をおさえる利点をもっている。したがって、すじまきでは雑草の繁茂状態により開花までに中耕・土寄せを一回行い、除草と兼用すれば十分であり、ぱらまきでは不必要である。
また、ソバは、根の張りが浅く、茎も軟弱なため、深めの土寄せは倒伏防止にとって効果的である。
●収穫・脱穀・乾燥・調製
ソバの栽培にとって最も労力のかかるのは収穫以降の一連の作業である。
収穫作業は従来ほとんど手刈りであったが、最近は省力のために収穫機が利用されつつある。
収穫後の乾燥および玄そばの調製は、ソバの品質を左右する重要な作業過程であり、特に、火力乾燥などの高温は絶対避けるべきで、天日または通風乾燥が望ましい。
また、収穫後の圃場における後熱(こうじゅく)および乾燥に際しては十分な配慮が必要であり、小規模の栽培では島立やハザかけの上にビニ-ルがけをして雨を避けると品質が低下しない。
玄そばの調製については、可能なかぎり精選する必要がある。
※信州大学資料参考