【特性】
1.中葉で節間が短く草勢は強いが、異常茎が出にくい。
2.着果性に優れ、花房当たり20~25果程度で安定。
3.果実は18~20g程度で揃い、濃赤色でやや光沢があり、食味は甘味とコクがあって美味。
4.果実は硬く、裂果は少ない。
5.トマトモザイクウイルス(Tm-2a)、萎凋病レース1に耐病性強。斑点病、ネコブセンチュウに耐病性中程度。
6.長期どりとなる促成、半促成および夏秋栽培に適する。
【栽培のポイント】
1.育苗と畑の準備
育苗では素直な苗作りを心掛ける。苗は直ちに10.5cm程度のポットに鉢上げして育苗する(定植時に苗が若すぎると樹ぼけしやすい)。育苗ハウスは風通しの良い所を選ぶ。
潅水は控え気味にしてずらしをひゃ目に行い、節間の出来るだけ短いがっちりした苗を養成する。8~9月上旬定植までは蕾が小さく見える程度、9月中旬以降は第1花房の第一花が開花少し前程度を目安に定植する。
耕運前の潅水は深層まで水分がたっぷりいき渡るように十分に行う。圃場の周囲には明渠等を設置して外から水の浸入がないようにする。その後水分が落ち着いてから施肥・耕運する。必ず前作肥料の残効を考慮し、元肥は窒素成分量で10kg/10a程度を一応の目安とする。
2.定植と栽培管理
高温時に定植する場合、定植初期は少量ずつの株元潅水をこまめにおこない、軽い遮光を併用して活着させる。活着後は出来る限り潅水を控えて根張り優先の生育をさせる。栄養生長過多にはなりにくい品種だが、初期から肥料を効かせ過ぎると過繁茂になり、食味や作業性の低下に繋がり、病気の発生も多くなるので注意すること。誘引は出来るだけ茎を立てて行い、日当たりをよくし草勢を確保する。花数は極端に多くなることは少なく、摘果の必要がほとんどなく省力化できる品種ではあるが、高温時に多く咲く場合がある。花が多すぎたときは先端を軽く摘果するとよい。着果し始めたら1段花房の1枚上まで下葉をかくが、草勢が低下しないようにできるだけ一度にかかないようにする。冬場は出来るだけ果実に光が当るように下葉かきを行うが、高温期になったら出来るだけ下葉は残し、最低でも葉数18枚確保して良品生産を心掛ける。
追肥、潅水は第1花房が着果、肥大を開始したころ(第3花房開花頃が目安)から草勢と土壌水分の状態を見ながら開始する。1回当たりの潅水量を少なくして潅水をこまめに行う「少量多潅水」を基本とする。
果実に水滴を持つと裂果しやすく、色周りや艶がなくなる原因となるので、蒸しこみすぎないよう換気を心がける。冬期間の換気は冷たい風を入れないように朝はうすく換気して、その後何回か分けて徐々にあけるように心掛ける。午後は午前中よりやや換気を大きめにして、湿度を抜くようにする。
収穫が高温、多日照になる時期には日焼けにより、果実表面が硬化して着色不良(黄色化して赤くならない、食味不良)を起こすことがある。日差しが強くなってきたら、果実に直射があたらないように葉陰を作ったり、日中数時間遮光したりして果実を保護するように心掛ける。