【特性】
1.草姿
草勢はおとなしめ、小葉で過繁茂になりにくい。
節間は短く、栽培管理が容易。
早生で、開花・着色ともに進みが早い。
1花房あたり花数は6~8花となり、着果性が良い。
2.果実
濃桃色の豊円形となり、花落ちが小さく、外観が美しい。
果実の大きさは200~220gとなる。
裂果や奇形果の発生が少なく、果実の揃いが良いため、秀品率が高い。
子室数は6~8程度となる。空洞果の発生が少ない。
果実は硬く、棚持ちも良い。
食味は甘味が強く、酸味とのバランスが良い。コクもありおいしい。
3.耐病性
トマトモザイクウイルス(Tm-2
a)、萎凋病レース1およびレース2、半身萎凋病、葉かび病(Cf9)に耐病性強。斑点病、ネコブセンチュウに耐病性中程度。青枯病に比較的強い。
【栽培のポイント】
草勢がやや大人しく早生であるため、着果負担による草勢低下に注意する。
やや若苗定植をしてスムーズな活着で初期生育を促す。
通常より早めの2~2.5段花房開花で初期追肥をする。(通常の3段開花時では遅いので注意)
草勢維持のため、低段1~3段は合計で10果程度に摘果することが望ましい。
全栽培期間のこまめな追肥と潅水で草勢を維持。
着果負担や温度環境で欠乏症が出る場合があるので、カリウムやマグネシウムを適宜、葉面散布する。
1.播種・育苗
極度な潅水などは避け、細やかな管理を行う。鉢上げの際は10.5cm以上のポットを使用する。苗ずらしは葉が重ならないように適宜行う。低段の着果節位が決まる時期であるため、定植まで徐々に温度を下げ、順化させる。
2.圃場準備
事前に圃場の土壌診断を行い、適正な施肥設計を行う。土壌条件や残肥の量により異なるが、元肥量の目安は窒素成分で10aあたり12~13kg、リン酸15~20kg、カリ15~20kgとする。草勢のバランスを良くするために緩効性肥料や有機質肥料の使用が望ましい。
3.定植・栽培管理
定植は第一花房第一花の開花前から開花始めを目安に行い、セル苗定植など極端な若苗定植は避ける。また、スムーズな活着のために老化苗にならないようにする。
定植後の潅水は最低限に控え、2段花房開花頃までは花質が悪化しない程度に少量多回数の潅水に留める。
本品種は草勢がおとなしめで、着果性が良く、早生で花の展開も早いので、本格的な潅水は一般品種よりも早く、2~2.5段花房開花後に始める。
後半の草勢を維持するために、第一花房から第三花房までの果実を10果以内に摘果する。
低段花房はホルモン処理などによって確実に着果させる。
追肥は草勢を見ながら行う。目安として、10日間隔で、1回10a当たり窒素成分で1~1.5kgとする。一度草勢が落ちてしまうと回復に時間がかかるので、早めの追肥を心がける。
4.病害虫防除
黄化葉巻病、黄化えそ病、キュウリモザイクウイルスには耐病性を持たないので、コナジラミ、アザミウマやアブラムシなどの防除を徹底する。
葉かび病の耐病性はCf9であるが、それを侵す新しいレースが発生しているので、防除を行う。
青枯病の汚染圃場では「足じまんSS」を、褐色根腐病対策および、草勢の維持には「足じまんZ」を台木に用いて接木栽培をする。