■大玉トマト『麗妃』の特徴
①黄化葉巻病に耐病性※10のある、食味のよい抑制・促成栽培向き大玉トマト
②着果性がよく、肥大性に優れ、収量性が高い
③草勢は中程度、早生で栽培の後半までスタミナがある
④極硬玉で、裂果に強く、店頭での店もちがよい。赤熟出荷可能
⑤果実は豊円腰高で果形が安定し、乱形果、空洞果、スジ腐れ果など障害果の発生が少なく、秀品率が高い
⑥萎凋病(F:R-1.2)※11、根腐萎凋病※12、ToMV(Tm-2a型)※13、半身萎凋病※14、葉かび病※15、斑点病※16に抵抗性、ネマトーダ※17耐虫性、TYLCV(トマト黄化葉巻病イスラエル系統、マイルド系統)耐病性
■黄化葉巻病耐病性品種のその先へ、さらなる進化を遂げた大玉トマト『麗妃』
黄化葉巻病耐病性品種のトマトは、近年、各産地で定着してきていますが、従来品種と比較すると「食味」、「収量性」、「栽培面」において未だ生産者が満足できるレベルの品種はありませんでした。
しかし、『麗妃』は黄化葉巻病耐病性品種であるにも関わらず、肉質がよく、糖度と酸度のバランスがとれている品種です。さらにずっしりとしたボリューム感のある果実で果ぞろいがよいため、出荷箱に入れた際や店頭での陳列で見栄えがします。また、収量性についても、花数が安定して多い上に着果がよいので、従来品種よりも高く、乱形果や空洞果の発生が少ないことから、秀品率も向上しています。
極硬玉のトマト『麗妃』は、流通性や店頭での店もちに優れていますが、生産面でもこの硬さは真価を発揮します。収穫が多少遅れても硬さを維持し品質が低下しないことから、圃場でしばらくおいておくこともできます。従来の品種では果実の色が回ると徐々に軟化が進むため収穫しなければなりませんが、『麗妃』は、生産者がある程度、出荷を調整することも可能です。近年、高齢化による生産者の減少が進む中、農作業の効率化が求められており、『麗妃』は作業効率向上にも貢献することができます。
このように『麗妃』は、さまざまな観点から現在のトマト栽培の課題を解決した画期的な新品種です。

■圃場での着果状態

■着果状態のアップ
■作型
※1黄化葉巻病:
現在九州から関東までのトマト産地で深刻な被害をもたらしている病害。発病すると葉が葉巻のような症状となり、進行すると株全体が萎縮し収量が激減する。症状が劇症型のイスラエル系統と、比較的に症状が穏やかなマイルド系統の2種類がある
※2空洞果:
果肉部がゼリー状物質で充満せずに果皮部と胎座部の間に空洞が生じた果実
※3裂果:
収穫期近くになり、果実表面が果実内部の膨圧に耐えきれず、はじき割れることである。裂果には、果梗(かこう)部を中心に同心円状に果実が裂ける同心円裂果、果梗部から放射状に裂ける放射状裂果および果実側面が裂ける側面裂果がある
※4 軟化玉:
温度上昇期の高温、乾燥や多肥による花芽の発育異常や根の活着不良などが要因の生理障害。中果皮が薄くなり、軟果となること
※5スジ腐れ果:
果皮部の維管束が壊死(えし)し、黒変や褐変した果実
※6黄変果:
日照量の増加などによるカリウム欠乏で引き起こされる日焼け症状の一種
※7赤熟もぎり:
トマトの5段階熟度表の4段階(10段階熟度表では8)以降の赤さを基準に、トマトを樹で赤く熟させてから収穫する方法
※8王様トマト:
当社が開発した肉質がしっかりしたトマト品種を赤熟で収穫した青果ブランド
※9価格はすべて希望小売価格(税抜)です。価格の自主的な決定を拘束するものではありません
※10抵抗性・耐病性:
抵抗性とは真性抵抗性ともいい、病害自体におかされない性質をいい、耐病性は圃場抵抗性ともいい、おかされはするがその程度が軽いという性質をいう
※11萎凋病:
土壌病害で病原菌(糸状菌)は根から侵入して導管内を伸展するので、はじめは葉が萎凋、黄化してついには株全体がしおれて枯死する。本病原菌には3つのレースが存在する
※12根腐萎凋病:
土壌病害で病原菌(糸状菌)が根に寄生し根腐れを起こす。導管内に侵入して導管の褐変を起こすこともある。発病は地温が15℃~20℃のときに激しく、晩秋から春にかけて発生する。慢性的にしおれ、下葉から黄化してやがて枯死する
※13 ToMV(Tm-2a型):
葉にモザイクが生じるほか、株の萎縮や奇形を引き起こす病害ウイルスに汚染された種子または土壌から感染する
※14半身萎凋病:
土壌病害で根の傷口から病原菌(糸状菌)が侵入する。はじめは下葉の一部の片側半分が黄化萎凋し、やがて株全体の半身がしおれて枯れ込む。定植一か月後ころから地上部に病徴が発現し始めて、以後収穫が終わるまで慢性的に発生し続ける。夏秋トマト栽培で発生しやすい
※15葉かび病:
糸状菌による病害。葉だけに発生する。はじめは葉の表側にボンヤリとしたやや黄色みがかった病斑が発生し、葉の裏側に灰白色のかびが発生する。ひどいと葉の表側にもかびが生じ葉枯れを起こす。多湿条件化で発生し着果不良や果実の肥大不良の原因となる
※16斑点病:
糸状菌による病害。主に葉に発生する。病斑ははじめ緑褐色の小斑点で、その後拡大し2~3mmの淡褐色~暗褐色の円形となる。病斑の周囲は黄変し病気が進むと病斑の中心部に穴があく。多湿条件下で発生し窒素過多や肥料切れするようなときに発病しやすい
※17ネマトーダ:
地中に生息する害虫(線虫)で、線形動物に属する動物の一種。植物の根、特に根端を傷めるほか、その傷口が種々の病害を誘発する